TANIOIBIS社の事例 TANIOBIS GmbH Managing Director Dr. Kazuyuki Marukawa

TANIOBIS社はどういった事業を営んでいますか。

TANIOBIS社は鉱石および二次原料から高機能タンタル・ニオブ粉末を生産する企業です。 ドイツ(ニーダザクセン州/ゴスラー)、タイ、日本などに生産拠点を持ち、コンデンサーおよび半導体用途等のスパッタリングターゲットに用いられるタンタル金属粉末、光学産業で使用される酸化物、また塩化物やニッケルニオブ、シュウ酸化物などの製造販売に50年以上携わらせていただいております。
それぞれの業界やお客様に合わせたタンタル・ニオブ粉末等の研究開発に取り組み、
3Dプリンティング向などの新しいトレンドも含めた、幅広いソリューションをご提案しております。
当社は2018年7月1日付けでJX金属グループの一員になり、ドイツと日本のチームが共に連携をして、お客様のお役に立てますよう、鋭意努力をしております。

 TANIOBIS社で現在のポストに就かれた切っ掛けは何ですか。

私は2010年に旧H.C. Starckグループのミュンヘン本社で、初代のCorporate Strategy部の 部長に就任しました。それ以降、バッテリー正極材のJVであったCSエナジー社の副社長、旧H.C. StarckグループのChief Business Development Officerを歴任しました。2018年に旧H.C. Starck Tantalum &Niobium社がJX金属グループの一員になった時に、
Vice Chairmanに就任させて頂き、2020年に旧H.C. Starck Tantalum &Niobium社がTANIOBIS社と 社名を変更してからも、引き続き、Vice Chairmanとして勤務をしております。

どのような成功体験をお持ちですか。

成功体験と言えるか分かりませんが、人生で大きな影響を与えた転機が何度かありました。
1度目は、父の転勤でロンドンの現地の小学校に、全く英語が分からない中、就学したことです。人生で一番きつい経験でしたが、この試練を、現地の恩師の助けで乗り切り、その後の自信につながりました。
2度目は、社会人になってから、ロンドンのビジネススクールに留学した際の経験です。 かなりレベルの高い学校だと聞いていたのですが、経験してみると、世界レベルで優秀と
言われている人たちも、あまり変わらない同じ人間だと分かり、おこがましいかもしれませんが、自分もグローバルでやっていけるのではないかと思いました。
3度目はロンドンのビジネススクールの経験から、あえて、自分をマイノリティーな立場でどこまでできるか、外資系(日本の会社でなく)の会社の本社で自分の実力を試してみたいと思い、それをドイツの企業であった、旧H.C. Starckグループの本社で試す機会を得られたのは自信につながりました。
直近では、JX金属グループの一員になったTANIOBIS社のメンバーとして、ドイツ、日本
チームの協業強化に関わることができているのは、私の非常に大きな財産です。TANIOBIS社の新規事業を我々のR&Dのハブがあるゴスラーから羽ばたかせ、当地での事業育成、雇用拡大を通じて、ドイツならびにニーダザクセン州に恩返しをし、日独の友好関係強化にも
貢献したく思います。
 

 ニーダーザクセンあるいはドイツは仕事や生活がし易い所ですか。

ニーダザクセン州政府の親身なご支援もあり、仕事は非常にやりやすい環境です。
社員も優れたドイツのAusbildung等の教育システムのおかげで優秀で、やはりドイツはものつくりの国だなと感じております。ここは日本と近いところかもしれません。
医療体制も充実しており、住環境も非常によく、快適な生活を送らせて頂いております。
事業拠点としてのニーダーザクセンに関して
− ニーダーザクセン州に関して事業を営む上で特に魅力に感じるのは何ですか。 インフラ、ネットワーク..その他
ニーダザクセン州都にあるハノーバー空港はドイツ国内ならびに近隣の欧州諸国へもフライトがあり、便利です。ドイツ国内もDBの接続がよく、移動も大変便利です。
また、近隣にゲッティンゲン大学、ブラウンシュバイグ大学、ハノーバー大学、クラウスタール大学などがあり、優秀な研究者、技術者を確保しやすい状況にあります。
我々のようなメーカーにとって、工場のインフラが整っているのは非常に重要ですが、その点でも満足しています。

 欧州進出を検討している日本企業に、ニーダーザクセンをどのように勧めますか。

やはり、ドイツは欧州のものつくりの中心であり、VWの本社工場がWolfsburgにある  ニーダザクセン州は、その中でもキーの立ち位置を占めていると思います。
主要なエンドマーケットが、仮にドイツ国内だけでなくても、ハノーバー空港は欧州各地へのコネクションもよく、高速道路もよく整備されていますので理想的と思います。
日本への接続もハノーバー空港から、日本行きの便が就航している空港へのアクセスがいいので、その点も魅力的です。

 ニーダーザクセン州からのサポートは得られていますか。(あるいは得られましたか)

特に新規事業育成や、今後の共同開発などで、研究機関等へのコンタクトが必要なことが あった場合など、ニーダーザクセン州には親身なサポートを頂きました。
ドイツの他の地域との関りもありましたが、ニーダーザクセン州のサポートは絶大だと  思います。引き続き、ニーダザクセン州からは、特に新規事業育成のためのサポートを  頂ければと存じます。
白馬会(ニーダザクセン州と日本の親睦会)にも、州政府からの大きなサポートを頂き、 円滑な運用が出来ています。

事業を拡大する上で、拠点としてのニーダーザクセンに優位性はありますか。

上記の繰り返しになってしまうところがあるのですが、ドイツは欧州のものつくりの中心であり、ニーダザクセン州は、その中でもキーの立ち位置を占めていることにつきるかと  思います。
− 現在の拠点に、仕事上あるいはプライベートで特に魅かれている点はありますか。
公私ともに、アクセスがよく、仕事上の大きなメリットがありつつも、自然豊かな環境が 身近にあることにひかれています。

将来の会社展望に関して
− 会社の将来の目標は何でしょうか。

今後の重点施策分野などがあれば教えてください。
やはり、新規事業を育成し、次世代の柱を、ゴスラーを中心に育成していきたいいと思います。現在は、特に3Dプリンティング用途や塩化物の分野を重点的に育てていきたいと  思います。

10年後のTANIOBIS社はどのようになっていると思われますか。

上記しました、今、育成している新規事業が、新しい事業の柱になっているようにしたいと思います。また、TANIOBISの社員や出身者は、日独を束ねることのできるグローバルレベルの人材だねと10年後に、自信を持って言って頂けるよう、ドイツ人、日本人(他の国の社員も含めて)の社員育成に努力したいと思います。

過去を振り返って、もし他の日系企業に助言できることがあれば教えてください。

これは一般的なことかもしれませんが、グリーンフィールドでなく、M&Aでドイツに進出される日系企業の方々へのメッセージですが、ポストM&Aのキーワードは(狭き門より入れ)ということかと思います。
何を言っているかと申しますと、ドイツ人は物事をはっきり言うことが多いですが、日本人は間接的に話すことが多いと思います。日独事業統合後は、統合の成功してきた会社では、最初の数年間は、お互いの理解を深めるために、日本人とドイツ人が、意見のぶつかり合いや、激しい議論がありがちだと思います。振り返りますと、これは本当に重要なことだったと思います。
とことん、意見を交わし、逃げずに問題を見据え、日独チームが、会社の内輪に目を向けすぎずに、グローバルマーケットでいかに勝つかについてフォーカスし、共に外に出て戦う。こんな基本的なところがキーのように思います。

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